宿のおっちゃんは多分大工じゃない。5月30日inモンゴル

宿のおっちゃんは多分大工じゃない。5月30日inモンゴル

朝一から空港に向かう。
あんなに惹かれてたのに。
完全に振り回してしまった。

付き合うまでは狂おしい程に好きで。
もともと好きだった相手も諦めて、やっとの想いで一緒になれたのに。
もうこの気持ちは君の元から離れてしまった。
ごめん、香港。

ごんちゃ飲んでる場合じゃないわ。
おれ、草原走り回りたい。

そんなこんなでモンゴルの便を予約したのが昨日のこと。

とりあえずモンゴルに向かうため電車で香港の空港へ。
ひっつじ♫ひっつじ♫

hongkong-railway

香港空港すごい。
無印ゴー。

mujirushigo

満面の笑みでチェックインカウンターへ。

あなたはモンゴルから出国するためのチケットを持ってますか?

いや、持ってないです!!!!!!

それならあなたを飛行機に乗せることは出来ません!!!!

なんで!!!!!

モンゴルから出国するためのチケットがない限り入国が出来ないという衝撃の事実。
離陸1時間半前。安井ピンチ。

シベリア鉄道に乗ってロシアに行こうと思っていたのに。鉄道の予約はそんなにすぐにも出来ず。

とりあえず1番安い航空券を購入するしかない。
ロシアのイルクーツクまでのチケットをその場で購入(鉄道より安かったのでちょっぴり嬉しい。)またも並び直す。

無事許可が降り、一時は入国が危ぶまれたモンゴルの姿を完全に捉えた。

待ってろ草原。待ってろ羊。

離陸まで残すところ1時間。

ゲートに向かいたいところだがここで一つ思いとどまる。

財布を開くとそこに入っていたのは香港ドルだった。
近くのマックに入るやいなや、手持ちの香港ドルは見事にビックマックに変貌を遂げた。

離陸まで残すところ40分。

空港の電光掲示板、モンゴル行きの横には「最終案内」の文字。

ぎりぎりでいつも生きていたいリアルフェイスな僕はこれくらいでは全く動じない。

列にしっかりと並び、自分のターンを待つ。
自動化されたゲートを突破するべく、元気よくパスポートをスキャンする。

反応しない。

係員がやって来る。故障らしい。
隣の列に並べとのこと。正気か。

離陸まで残すところ30分。既に半泣きである。

ここからが香港の逆襲。

僕が乗ろうとしていた飛行機の搭乗口には電車を使わないと行けないとのこと。

離陸まで残すところ20分。ほとばしる汗をそのままにひたすらに走る。

おそらく過去、香港空港を走った人類の中ではTOP10には入るだろう。

離陸5分前。搭乗口に到着。

ここから飛行機までバスで行くとのことで待っていたバスが僕を暖かく迎えてくれた。

心なしか周囲の話し声が大歓声に聞こえた。

さらば香港。愛してるよ、モンゴル。

飛行機に揺られること約5時間、モンゴル空港に着いた。

空港から出るとすぐに山賊みたいな体格のタクシードライバーに捕まった。

お前どこに行くんだ?

シティーゲストハウス。

分からない。

両替も済ませてなかった僕はお金を持っていなかったため、早く換金したかった。

おい、これ。

なにやら携帯を渡して来る。

日本人の友達だ。

よく分からん。とりあえず出てみる。

アナタハドコニトマリマスカ?

流暢とは程遠い日本語で問いかけて来る。少なからず日本人ではない。

シティゲストハウスです。

ソコノシュジンハ大工デスカ?

多分ですけど、違うと思います。

不毛すぎるやりとりに終止符を打ち、山賊に換金所の場所を尋ねる。

もう閉まってるよ。ここからシティゲストハウスまで50USDで乗せてってやるよ。

ネットでみた感じだと最低で7ドル程だった。こいつは正気なのか。とりあえず換金所マークのある空港の二階に行ってみることに。換金所。開いてるやないかい。

30分程で換金を済ませ外に出るとそこにはまたしてもあいつが。

めっちゃ負けて60000トゥグルク(モンゴルの通貨、25ドル程)で乗せてってやるよ。

お前の料金は高すぎる。1000円くらいで行けるって聞いたぞ。

それは2017年の話だ。今、モンゴルの通貨価値はどんどん上がっている。とりあえずおれの日本人の友達と話せ。

またしてもあいつだ。俺には誰だか分からないし、宿の主人が大工かどうかも分からない。

他のドライバーに聞いて、比較するから少し待っとけ。

いいからおれのとこに乗れ。

無視しながら外のドライバーの所へ。
ずっと付いて来る。

街までいくらで行けますか?

25000ドゥグルク(1100円)で乗せてくよ。

行けるじゃねーか、2019。

山賊を振りほどき、別のタクシーで宿へ。

予約していた宿のオーナーはめちゃくちゃいい人ではあったが大工ではなかった。

疲れたので夕食は近くで適当に済ませようと思い、韓国レストランへ。

キムチやら何やらをやたらと出す韓国のしきたりをすっかりと忘れていたせいで、小皿がテーブルの上を埋める。軽いパーティーのようだ。

明日こそ待ってろよ、羊!

宿に日本人がいました。